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「ビル管理法」における水質検査の義務や内容をわかりやすく解説

  • 執筆者の写真: 博 田中
    博 田中
  • 6月13日
  • 読了時間: 7分

ビルの中で働く人や訪問者が、安心して過ごせる環境を保つためには、建物の内部環境がきちんと管理されていることが欠かせません。

その中でも「水」の衛生状態は、私たちの健康に直結する重要なポイントといえるでしょう。


日本では一定の条件を満たすビルに対して、「ビル管理法」に基づく定期検査と基準に則った維持管理を義務づけています。その中には、給水や排水の管理も含まれます。


ただ、「ビル管理法」や「水質検査」と聞いても、「どんな法律?」「誰が何をしなければいけないの?」と疑問を持つ方も多いのではないでしょうか。


本記事では、「ビル管理法」の基本的な内容や水質検査が求められている理由、検査の対象、誰がどのように実施するのかなど、詳しく解説します。

ビルの安全性や衛生に関心のある方はもちろん、施設管理に関わる方にとっても、役立つ内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。



ビル管理法とは?

ビル管理法は、多くの人が利用する建物の環境衛生を守るための法律です。建物内の空気や水、清掃状態などを安全に保つため、管理者に一定の義務が課されています。


まずは、この法律の基本的な内容と目的について、みていきましょう。


ビル管理法(建築物衛生法)の概要

ビル管理法(建築物衛生法)とは、正式には「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」という名称の法律です。この法律は昭和45年(1970年)に制定されました。

建物内の空気や水、清掃といった目に見えづらい環境要素について、国が定めた基準に従って管理することをビルの所有者や管理者に求めています。


この法律が対象とするのは、特定建築物と呼ばれる一定規模以上の建物です。多くの人が日常的に利用する施設では、ただ快適に過ごせるというだけでなく、健康被害が生じないように環境を管理する必要があります。


なお、「ビル管理法」は都道府県ごとにある生活衛生担当部署が監督しており、法に基づいた点検や報告が義務とされています。

もし適切な管理がされていなかった場合には、指導や勧告、さらには命令や罰則が科されることもあるため、建物管理においては非常に重要な法律といえるでしょう。


ビル管理法の目的

ビル管理法の最大の目的は、「不特定多数の人々が安全かつ衛生的に過ごせる空間」を確保することです。

大規模な建物では、空調の不備による空気の汚れや水道設備の劣化による水質の悪化、清掃が行き届かないことによる感染症のリスクなど、多くの問題が発生する可能性があります。

こうしたリスクを未然に防ぐために、一定の基準に基づく管理体制が必要とされています。


ビル管理法の中で、特に高い基準が定められているのが、以下の項目です。


  • 空気環境の調整

  • 給水の管理

  • 排水の管理

  • 清掃等

  • ねずみ等の防除


これらの項目については、定期的な点検や記録の保存が求められ、必要に応じて行政への報告も義務づけられています。

ビルの管理者が単に管理を自己判断で行うのではなく、厚生労働省が定めた基準に沿って管理を実施することで、全国どこでも一定の衛生水準が保たれる仕組みになっているのです。



ビル管理法で水質の管理が求められている理由

私たちが使用している水は、飲用に限らず手洗いやトイレ、清掃など、さまざまな場面で欠かせないものです。


しかし、その水がもし汚染されていたらどうでしょうか。


水を介した感染症のリスクが高まり、利用者の健康に深刻な影響を及ぼす可能性があります。

このようなリスクを未然に防ぐために、ビル管理法では一定の建物に対して、水質の管理を求めているのです。

この背景には、過去に発生した水のトラブルや、それによる健康被害の教訓があります。


たとえば、受水槽の清掃不備による赤水の発生や、給水管の老朽化によって有害物質が水に混入した事例などが報告されています。

また、雑用水を原因としたレジオネラ菌感染症のように、目に見えない汚染が重篤な健康被害につながるケースも少なくありません。


こうした事態を防ぐには、水道法に基づく定期的な水質検査を通じて、色・濁り・残留塩素・大腸菌の有無などの項目を確認し、異常があればすぐに対応できる体制を整えておくことが不可欠なのです。



ビル管理法における水質検査の対象建築物

水質検査の義務が課されるのは、すべての建物ではなく、「特定建築物」と定められた一定規模以上の施設に限られています。


具体的には、多数の人が継続的に出入りする建築物で、延べ床面積が3,000平方メートル以上のものが対象です。具体的には、オフィスビル・デパート・学校・病院・ホテルなど、不特定多数の人が利用する公共性の高い施設が挙げられます。


このような建物では、屋上などにある貯水槽にためられた水が、建物内で共用されることが多いです。そのため、水質の変化が見逃されると、多くの利用者に一斉に健康被害が及ぶおそれがあります。特に受水槽や高架水槽を通じた給水方式の建物では、水の停滞や汚染リスクが高まるため、より注意する必要があるでしょう。


また、飲用以外の用途で使われる「雑用水」についても、一定の設備条件を満たす場合、衛生面の観点から検査の対象となります。


一方、小規模な事務所ビルなど、延べ床面積が3,000平方メートル未満で、特定建築物に該当しない建物には、水質検査の義務は課せられていません。

ただし、義務がないからといって安全管理が不要というわけではなく、管理者の自主的な点検が望ましいとされています。



水質検査の検査内容

ビル管理法では、飲料水と雑用水の管理について、下記のように明文化しています。


(1)飲料水の管理

水道法第3条第9項に規定する給水装置以外の給水に関する設備を設けて、人の飲用、炊事用、浴用その他人の生活用のために水を供給する場合(旅館における浴用を除く。)は、水道法第4条の水質基準に適合する水を供給しなければなりません。


そして、下表の衛生上必要な措置が定められております。その他、厚生労働大臣が定める「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」に従い、維持管理に努めなくてはなりません。


(3)雑用水の管理

水道法第3条第9項に規定する給水装置以外の給水に関する設備を設けて、雑用水(散水、修景、清掃、水洗便所の用に供する水)として、雨水、下水処理水等を使用する場合(水道水を用いる場合は、対象外。)は、下表の衛生上必要な措置を行い供給しなければなりません。


その他、厚生労働大臣が定める「空気調和設備等の維持管理及び清掃等に係る技術上の基準」に従い、維持管理に努めなくてはなりません。



水道法に基づく水質検査では、水の安全性を確保するためにいくつかの重要な項目が定期的にチェックされます。主な検査項目は見た目の状態(色や濁り)・臭気・残留塩素の濃度・細菌の有無などです。


水質検査の頻度や方法、判定基準はそれぞれの用途によって異なり、検査項目も多岐にわたります。

検査内容や項目については、以下の記事でさらに詳しく解説しているので、実際にどんな検査が行われているのか知りたい方は、ぜひこちらの記事をご参照ください。




水質検査は誰が行う?

ビル管理法に基づく水質検査は、専門的な知識と技術を持つ検査機関が実施する必要があります。

水質検査には、水の採取方法や保管、検査機器の精度など、細かい技術的要件が存在します。仮に素人が自己流で実施すると、誤った結果に基づいて誤判断をしてしまう恐れがあるため、必ず信頼できる専門機関に依頼するようにしましょう。

中でも、各都道府県知事の登録を受けた事業者に依頼するのが安心です。


なお、検査結果は記録として一定期間保管する義務もあります。

また、検査後に異常が発見された場合は、速やかに保健所などに報告し、必要な措置を講じる必要があることも事前に知っておきましょう。




まとめ

ビル管理法は、多くの人が利用する建物内の環境を衛生的に保つために定められた法律であり、水質検査はその中でも特に重要な義務のひとつです。


一見、清潔そうに見える水でも、内部には雑菌や汚染物質が含まれていることがあり、目視だけでは安全性を判断することはできません。だからこそ、法律に基づいた検査体制が重要なのです。


水質検査は単なるルールの遵守ではなく、ビル利用者全員の安心と健康を守るための基本的な取り組みといえるでしょう。


もし自分が管理する建物が検査の対象になるかどうか分からない場合や、検査の方法について不安がある場合は、ぜひ当社にご相談ください。


 
 
 

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