そして、その水の安全性を確保するために欠かせないのが、水質検査です。
水質検査は、飲料水としての適正や衛生基準を守るだけでなく、私たちの健康を守るための基盤となります。
しかし、「水質検査とは何を基準にしているのか?」「どのような項目が調査対象になるのか?」など、水質検査のことを具体的に知っている方は少ないのではないでしょうか。
本記事では、水質検査の役割や意義について解説。
また、水質検査で基本となる10項目や11項目について詳しく紹介します。
この機会に、私たちの生活になくてはならない水を守る仕組みについて、一緒に学びましょう。
ぜひ最後までお読みください。

水質検査の基本
水質検査は、私たちが日常的に使用する水が安全であることを証明するために欠かせません。
それでは、実際に水質検査とはどのような検査なのでしょうか?
まずは水質検査の意義や関連する法律について解説します。
◯水質検査の意義
水質検査とは、私たちが利用する水が、安全かつ適切な状態に保たれていることを確認するための調査です。
この検査を行うことで、目に見えないリスクを早期に発見し、利用者の安全を守ることが可能になります。
例えば、大腸菌や有害な化学物質を多く含む水は、健康被害を引き起こす可能性があります。
こうした危険性を水質検査で事前に把握し、適切な改善を行うことで、安全な水が保たれているのです。
◯水質検査について定めた法律
日本の水質検査は、主に「水道法」に基づいて行われます。
水道法第20条には、水道事業者に対して定期的な水質検査の実施義務が明記されています。
第二十条 水道事業者は、環境省令の定めるところにより、定期及び臨時の水質検査を行わなければならない。 2水道事業者は、前項の規定による水質検査を行つたときは、これに関する記録を作成し、水質検査を行つた日から起算して五年間、これを保存しなければならない。 3水道事業者は、第一項の規定による水質検査を行うため、必要な検査施設を設けなければならない。ただし、当該水質検査を、国土交通省令の定めるところにより、地方公共団体の機関又は国土交通大臣及び環境大臣の登録を受けた者に委託して行うときは、この限りでない。 |
簡単に言えば、下記のような義務です。
水道事業者による定期的・臨時の水質検査が必要
水質検査後には記録を作成し、5年間保存
水質検査のための検査施設の設置(認定された機関や事業者に委託する場合は除く)
こういった法律を順守する取り組みによって、私たちの生活水の安全性が維持されています。
主な水質検査の内容
水質検査は、用途や場所によって異なる基準に基づいて行われます。
飲料水やプール、公衆浴場など、それぞれに求められる衛生レベルがあり、これを適切に保つための水質検査を行う必要があるのです。
ここでは、各用途における水質検査の特徴について、詳しく解説します。
◯飲料水の水質検査
飲料水の水質検査は、私たちが安全に飲用できる水を供給するために欠かせません。
検査では、大腸菌や有害物質の有無を確認し、基準値を超えていないことを確認します。
また、水道水の場合、水道法第4条に規定されている水質基準を満たす必要があります。
検査項目は全部で51項目あり、代表的な検査項目は以下の通りです。
一般細菌
大腸菌
カドミウム及びその化合物
水銀及びその化合物
セレン及びその化合物
鉛及びその化合物
ヒ素及びその化合物
六価クロム化合物
亜硝酸態窒素
シアン化物イオン及び塩化シアン
その他の検査項目については、こちらから確認できます。
検査項目によって検査頻度も決まっており、徹底した管理体制を敷くことで、私たちは安心して水を利用できるのです。
参考
◯遊泳用プールの水質検査
プールの水質検査は、遊泳者の健康と衛生環境を守るために実施される検査です。
厚生労働省が定める「遊泳用プールの衛生基準」に基づき、主に7つの項目について検査が行われます。
主な検査項目は、大腸菌・一般細菌・残留塩素濃度・pH値などです。
特に残留塩素濃度は、適切な消毒効果を保ちながら、皮膚や目への刺激を防ぐために重要とされています。
さらに、濁度や臭気など、水の見た目やにおいをチェックすることで、遊泳者が快適に利用できるようになっているのです。
また、学校のプールの場合、学校保健安全法・学校環境衛生管理マニュアルで定めた基準が適用されます。
適切に管理されたプールの水は、感染症の発生を防ぐとともに利用者に安心感を与える役割も果たしているといえるでしょう。
参考
◯公衆浴場の水質検査
公衆浴場では、多数の利用者が安全に入浴できるよう、水質基準が細かく設定されています。
厚生労働省の指針に基づき、原水や浴槽水など異なる水の用途ごとに検査項目が定められています。
特に重視されているのが、大腸菌やレジオネラ属菌の検出防止です。
温泉水や井戸水を使用する施設の場合、一部の基準が免除されることもありますが、安全管理の徹底が求められます。
また、自治体によっては、条例でさらに厳しい基準が設けられていることも少なくありません。
参考
水質検査の項目数
水質検査は、水質検査の種類によって項目数が異なります。
種類ごとの主な項目数は、以下の通りです。
飲料水(水道法)51項目 (建築物衛生法)16項目+消毒副生成物12項目
水道原水(地下水)39項目
飲用井戸 11項目または13項目
食品製造用水 26項目
学校環境衛生 10項目
なかでも後述する10項目+1項目は、水質検査の基本となる検査になります。
水質検査の基本となる10項目、11項目とは?
飲料水の水質検査は51項目、16項目が基準なのですが、検査に合格した場合、次回の検査で項目を省略することが可能です。
しかし、全部を省略できるわけではなく、以下の10項目あるいは11項目については、毎回検査を行う必要があります。
この基本となる検査は、飲料水の適性や衛生管理を測るために欠かせません。
11項目の基準は以下の通りです。
参考:水質基準値と項目
もともと、昭和32年の水道法公布の段階では、10項目の検査が必須となっていました。
しかし、平成26年4月1日施行の法律により、1つ項目が追加され、11項目となったのです。
例外として、法令に関係しない水質検査の場合は、10項目でも問題ありません。
それでは、検査項目について、ひとつずつみていきましょう。
1.一般細菌
一般細菌は、水の汚染状況を判断する目安となる細菌のことです。
人体に害のない菌も含まれますが、病原性大腸菌が検出される可能性もあります。
基準値を超えた場合、その水の飲用やプールでの使用は控える必要があります。
2.大腸菌
大腸菌は、人や動物の腸内に存在する菌の一種で、多くは無害です。
しかし、病原性を持つ種類もあるため、基準が設定されています。
汚染の原因として、異物や汚水の混入が挙げられます。
3.硝酸態窒素及び亜硝酸態窒素
硝酸態窒素や亜硝酸態窒素は、肥料や腐敗した有機物、排水から生じる成分です。
これらが基準値を超えると、人体に悪影響を及ぼすことがあります。
4.塩化物イオン
塩化物イオンは、水に溶けた塩素分で、下水や海水の混入によって増加します。
適切な濃度であれば問題ありませんが、基準値を超えることで水質汚染の悪化が懸念されるでしょう。
5.有機物(全有機炭素(TOC)の量)
有機物の量は、生活排水や工業排水などが原因で増えます。
水質が悪化すると、生態系や飲用水の安全性に影響を与えるため、適切な管理が必要です。
6.pH値
pH値は、水が酸性かアルカリ性かを示す指標です。
汚染や化学物質の影響で変動しやすいため、基準範囲内に保つ必要があります。
7.臭気
異常な臭気は、水に不純物や微生物が含まれている可能性を示唆しています。
水道水の塩素臭は通常の処理によるものですが、その他の臭いは異常の兆候となる場合があり、注意が必要です。
8.味
安全な飲料水は、無味であることが基準となります。
水の味が変化している場合、不純物や腐敗物の混入が原因の場合が多いです。
9.色度
透明であることが基準です。
水の色が透明でない場合、金属や有機物、汚水の混入が考えられます。
10.濁度
濁度は、水の透明度を示す指標で、汚染や配管の劣化などが原因で上昇します。
濁度が高い水は、飲用や日常での使用に適していません。
11. 亜硝酸態窒素(単独検査)
人体に大きな影響を与える可能性があることから、11項目目として亜硝酸態窒素の単独検査が追加されました。
亜硝酸態窒素は、特に乳幼児の健康リスクを上昇させるといわれています。
まとめ
水質検査は、私たちの生活に欠かせない水の安全と安心を守るための重要な仕組みです。
法令に基づいて行われるこれらの検査は、私たちの健康を支える基盤といえるでしょう。
今回の記事で紹介した水質検査の項目や基準を通じて、水質検査の意義と役割について理解が深まれば幸いです。
当社では、16項目までの水質検査に対応しております。
飲食店や施設にて、水質検査をお考えでしたら、気軽にご相談ください。
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