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PFOS・PFOAってどんな物質?人体への影響や規制について解説

近年、環境や人体への影響が懸念される化学物質として「PFOS」や「PFOA」が注目を集めています。

特に、2024年の「河川から基準値を大幅に超えるPFOS・PFOAが検出された」というニュースは、多くの人々に衝撃を与えました。

これらの物質は、日常生活で使われる多くの製品に広く使用されてきた経緯があり、長期間環境に残留することから「永続性化学物質」とも呼ばれています。


本記事では、PFOS・PFOAの基本情報をはじめ、これらが人体に与える影響や規制の現状、さらには今後の動向についてわかりやすく解説します。

PFOS・PFOAの問題について理解を深めることで、環境保護や健康への関心を高めるきっかけになれば幸いです。


ぜひ最後までお読みください。





河川から指針値58倍のPFOS・PFOAが検出されたニュースを受けて

2024年12月、熊本市内の河川にて有機フッ素化合物「PFOS」・「PFOA」が、国の暫定指針値を大幅に超える濃度で検出されたというニュースが話題となりました。

特に、井芹川では国の指針値の約58倍にあたる2,900ng/Lもの有機フッ素化合物が確認されています。

熊本市が調査を進めていく中で、一部観測地点における原因として、産業廃棄物の埋め立て処分場からの放流水が関与していることが特定されました。


なお、PFOS・PFOAの基準値を超えたのは、井芹川だけではありません。

2024年11月までの調査において、熊本市内の23か所の河川と2か所の井戸で、暫定指針値を超える有機フッ素化合物濃度が検出されています。


調査の結果、放流水に含まれるPFOS・PFOAは、川の上流にある複数の埋め立て処分場から流出した可能性が高いとされています。

ただし、処分場から流出した可能性が指摘されているものの、有機フッ素化合物を含む廃棄物を処分した具体的な記録は確認されておらず、意図的な違法行為は見つかっていません。


この点が市民にとって、さらなる不安材料となっているのが現状です。



PFOS・PFOAの基本情報

PFOSとPFOAは、近年の環境問題の中でも注目を集めている有機フッ素化合物です。

これまで多用途で使われてきた化学物質ですが、その特性から環境中に長期間残存し、人体や生態系に悪影響を及ぼす可能性があることが懸念されています。


ここでは、PFOS・PFOAとは何か、また2つの違いについて解説します。


◯PFOS・PFOAとは?

PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸/Per Fluoro Octane Sulfonic acid)とPFOA(ペルフルオロオクタン酸/Per Fluoro Octanoic Acid)は、いずれも「ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物(PFAS)」と呼ばれる化学物質群のひとつです。

この物質群には、フッ素樹脂(PTFE)など、1万種以上の物質が含まれます。


これらは非常に安定している物質で、撥水性や撥油性に優れているため、長年にわたり、防汚加工や耐熱性コーティングの素材として利用されてきました。

具体的には、食品包装・消火剤・衣料・電子機器、そして自動車部品など、私たちの日常生活でよく利用される製品にも使用されています。


しかし、その耐久性ゆえに自然界で分解されにくく、環境中に蓄積される「永続性化学物質」として問題視されているのが現状です。

さらに、水や空気を介して広範囲に拡散しやすく、人々の血液中からも検出されることがあるため、人体や生態系へのリスクが指摘されています。


◯PFOSとPFOAの違い

PFOSとPFOAは同じPFASの一種で、いずれも高い安定性を持つ化合物ですが、付加されている酸の種類や利用場所が異なります。


PFOSは「スルホン酸」を含み、撥水性・撥油性・耐熱性・耐薬品性に優れている物質です。

そのため、主に撥水剤や泡消火薬剤に使用されています。


一方、PFOAは「カルボン酸基」を持ち、フッ素樹脂塗料や包装紙への撥水加工によく使われます。



PFOS・PFOAによる影響

PFOS・PFOAは非常に安定した化学構造を持ち、環境中に蓄積しやすいという特徴があります。

この特性が原因で、地球規模の汚染や人体への影響が懸念されているのです。


ここでは、環境と人体への具体的な影響について解説します。

◯環境への影響

PFOS・PFOAは分解されにくく、環境中で長期間残留する性質を持つ物質です。

その結果、土壌や水源が汚染され、生態系全体に影響を及ぼすことが報告されています。


特に、河川や地下水に流出した場合、汚染は広範囲にわたり、周辺地域の農業用水や飲料水に悪影響を及ぼす可能性が考えられます。

また、魚や動物の体内に蓄積し、食物連鎖を通じて、さらに広がることが懸念点です。


◯人体への影響

PFOS・PFOAは、飲料水や食品を通じて人体に取り込まれると、体内に蓄積する可能性があります。

それによって、肝機能障害や免疫系の異常、内分泌系への影響が考えられます。

特に、PFOAの血中濃度が高い人は、低い人と比較して腎臓がん・潰瘍性大腸炎・精巣がん・甲状腺疾患・高コレステロール血症などのリスクが高いことも分かりました。


また、長期的な曝露は発がんリスクの増加とも関連付けられており、特に妊婦や子どもの健康に対する影響が懸念されています。


このような問題点から、日本だけでなく国際的に規制が強化され、より厳格な管理が求められています。



PFOS・PFOAの規制

PFOS・PFOAの持続性や人体への影響が明らかになるにつれ、世界中でその規制が進んでいます。

他国と比較すると、規制が遅れがちですが、日本でも水質基準の設定や製造・輸入の禁止など、環境や人々の健康を守るための措置が取られているのが現状です。


ここでは、水質検査における基準値や製造・輸入の規制、さらに今後の規制について解説します。


◯水質検査におけるPFOS・PFOAの基準値

日本では、PFOSとPFOAを合わせた水中濃度の暫定指針値を「50ng/L」と設定しています。


この基準値は、国民の健康を守るために設けられたものであり、これをもとに地方自治体や水道事業者が監視を強化しているのです。

例えば、河川や地下水で基準値を超える場合、汚染源の特定や対策が必要となります。


ただしアメリカでは、それぞれ4ng/Lが制限値となっており、ヨーロッパでもより厳しい規制の強化が進められている状況です。

日本においても、基準値の見直しや国際基準との整合性も今後の課題として挙げられています。



◯製造・輸入に関しての規制

日本において、PFOSは2010年、PFOAは2021年に製造や輸入が原則禁止されています。国内での新たな汚染リスクを抑える措置はすでに取られているといえるでしょう。ただし、過去に輸入・製造された製品や廃棄物に由来する汚染は依然として課題であり、これらの適切な処理が求められています。


◯今後の規制について

PFOS・PFOAの規制は国際的にも強化されつつあります。

それに伴い、日本でもさらなる基準値の厳格化や監視体制の拡充が検討されています。

また、新たに発見される類似物質への対応や、産業廃棄物の管理方法の見直しも重要でしょう。


まとめ

PFOS・PFOAが及ぼす環境や人体への影響が深刻化する中、これらの化学物質について理解を深めることは、私たち一人ひとりが環境や健康を守るための第一歩となります。

今回のニュースを通じて、改めてPFOS・PFOA、さらには有機フッ素化合物全般について考えてみてはいかがでしょうか?


浅井ビルクリーナーでは、河川や井戸水の水質検査を実施しております。

水質検査についてお困りでしたら、ぜひお気軽にご相談ください。

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