作業環境測定の管理区分って何?区分の内容と対策を徹底解説
- 博 田中
- 5月13日
- 読了時間: 7分
作業現場の安全性や労働者の健康を守る手段として、適切な作業環境の管理が欠かせません。安全管理の状況を明確にするために行われるのが「作業環境測定」です。
そして、この測定を通じて得られた結果によって、「管理区分」という分類がされます。
しかし、「管理区分」の具体的な内容や目的を知っている方は多くないでしょう。
実際、どのようにして管理区分が決まり、それぞれの区分が作業現場にどのような影響を与えるのかは、知識として押さえておくべき重要なポイントといえます。
この記事では、作業環境測定の基本的な概要や、管理区分の内容を詳しく解説します。
そのなかでも特に注目すべきは、第三管理区分に該当した場合の適切な対処法です。
この記事を通じて、作業環境測定に関する理解を深め、安全で効率的な職場作りにお役立ていただけたらと思います。
リスクを最小限にとどめ、作業環境を改善するために必要な知識を、わかりやすく紹介しますので、ぜひ最後までお読みください。

作業環境測定の概要
作業環境測定は、労働環境の安全性と快適性を評価し、改善するための重要なプロセスです。
作業場で働く人々が安全かつ効率的に業務を行えるようにするため、作業環境測定の意義や手順を理解しておくことは欠かせません。
ここでは、なぜ作業環境測定が必要なのか、そしてその測定結果に基づく「管理区分」がどのように決まるのかについて解説します。
なぜ作業環境測定が必要なのか
作業環境測定が必要とされる理由は、大きく分けて労働者の安全確保、健康被害の予防、生産効率の向上という3点です。
特に現代の職場環境では、有害物質の発生を始めとする、リスク要因が多数存在しています。安心して働ける環境を整えるためには、その要因を正確に知る必要があるのです。
例えば、製造業や建設業では粉じんや騒音、化学物質が日常的に発生します。
これらは短期間では問題が顕在化しなくても、長期的に見ると深刻な健康被害をもたらす可能性があります。
作業環境測定は、こうしたリスク要因を事前に発見し、リスクを最小限にとどめるために実施されるものです。
さらに、作業環境測定は労働安全衛生法に基づき、多くの業界で実施が義務化されています。
法的な基準を遵守しながら、安全管理を強化することで、労働者だけでなく企業全体の信頼性向上にもつながるでしょう。
管理区分はどうやって分かる?
作業環境測定の結果に基づく「管理区分」は、具体的な測定値と基準値によって判断されます。
具体的には、作業環境測定において「A測定」と「B測定」の2種類を実施する必要があります。
「A測定」とは、作業所内にメッシュを設定し、それが交わる点でサンプリングする方法です。また、「B測定」は、粉じんなどの発生源付近など、作業者が有害物に最も触れる場所で行います。
この2つの測定の上、総合的に管理区分が決定されるのです。
管理区分は第一管理区分、第二管理区分、第三管理区分の3つに分類されます。
判定は、A測定・B測定をそれぞれ3つの区分にわけ、その組み合わせによって、管理区分を決めます。
例えば、粉じんや揮発性有機化合物の濃度が管理濃度以下であれば第一管理区分、管理濃度を超えても一定の対策で対応可能な場合は第二管理区分、対策が必要不可欠なレベルに達している場合は第三管理区分といった形です。
また、測定値だけでなく、測定の頻度や作業環境の状況変化も管理区分の判定に影響を与えます。
環境が安定していれば定期的な測定だけで済みますが、新たな設備導入や作業内容の変更があれば、その都度測定が必要です。
作業環境測定における3つの管理区分
作業環境測定の結果は、労働者の安全と健康を確保するために、作業環境の状態を評価し、適切な管理を行う指標となります。
作業環境測定を実施した場合、その結果によって、「第一管理区分」、「第二管理区分」、「第三管理区分」の3つに分類されます。
各管理区分の詳細について詳しく見ていきましょう。
第一管理区分
第一管理区分は、作業環境管理が適切に行われている状態を示します。
具体的には、作業環境測定にて測定された数値が、95%の確率で管理濃度以下であり、労働者が健康被害を受けるリスクが低いと判断される状況です。
この状態を維持するためには、定期的な作業環境測定を継続して行い、現行の管理策の効果を確認することが重要です。
また、新たな有害物質の導入や作業工程の変更があった場合には、速やかに再測定を行い、適切な管理を継続することが求められます。
第二管理区分
第二管理区分は、作業環境管理に改善の余地がある状態を示します。
作業環境中の有害物質の濃度や、物理的要因が管理濃度を超えてはいないものの、測定結果にばらつきが見られる場合や、管理濃度に近い値を示す場合などがこれに該当します。
第二管理区分となった場合は、現行の作業環境管理を見直し、改善策を追加で行うと良いでしょう。
具体的な対策として、換気設備の強化や作業手順の見直し、個人用保護具の適切な使用などが挙げられます。
また、改善策を実施した後は、再度作業環境測定を実施し、効果があるか確認することが重要です。
第三管理区分
第三管理区分は、作業環境管理が適切でない状態を示します。
具体的には、作業環境中の有害物質の濃度や物理的要因が管理濃度を超えており、労働者の健康に対するリスクが高まっている状況です。
この場合、直ちに現場の点検を行い、原因を特定し、適切な対策を講じる必要があります。
また、対策を実施した後は、再度作業環境測定を行い、改善が達成されたことを確認しましょう。
場合によっては、労働基準監督署から是正勧告が出される場合もありますので、一刻も早い改善が必要です。
第三管理区分になった場合は?
上でも解説しましたが、作業環境測定によって第三管理区分に分類された場合は、労働者の健康リスクが高まっていることを意味します。
この状況を改善するためには、以下のような対策を行うようにしましょう。
1. 作業環境管理の専門家に意見を聞く
外部の作業環境管理専門家から、作業環境の改善可能性や具体的な改善策について、意見を聞きます。
作業環境測定の結果報告の際に、改善についてのアドバイスをもらえることも少なくありません。
専門家の知見を活用することで、効果的な改善策を策定することが可能です。
2. 作業環境の改善措置を実施する
専門家の意見を踏まえ、以下のような具体的な改善策を講じます。
局所排気装置の設置
有害物質の発散源から直接排気する装置を導入し、作業環境中の有害物質濃度を下げます。
換気システムの強化
全体的な換気能力を向上させることで、有害物質の拡散を防ぎ、濃度を低下させます。
作業手順の見直し
有害物質の使用量削減や代替物質の採用など、作業プロセス自体を再評価し、リスクを減らします。
こうした措置を行った後、再度作業環境測定を行い、効果を確認しましょう。
改善がみられない場合は、専門家に再度相談し、さらなる対策を講じる必要があります。
3. 呼吸用保護具を使用する
さまざまな改善措置を行っても改善できない場合、労働者に対して適切な呼吸用保護具を使用させることが義務付けられます。
また、保護具が適切に装着されているかを確認するため、定期的なフィットテストの実施も重要です。
まとめ
作業環境測定は、職場の安全性と労働者の健康を守るためにとても重要です。
測定結果によって分類される管理区分は、適切な対策を講じる上での指針となります。
特に第三管理区分に該当した場合は、迅速かつ効果的な改善が求められます。
安全で快適な作業環境を維持するために、定期的な測定と改善策の実施を怠らないようにしましょう。
作業環境測定に関するご相談は、ぜひ当社までお気軽にお問い合わせください。
測定はもちろん、測定結果の説明や改善のご提案も専門スタッフが丁寧に対応いたします。