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空気環境測定ってどんな検査?重要性や測定方法を解説

私たちが日々過ごしている空間の「空気環境」は、人間の健康や快適さに大きな影響を与えます。


しかし、目に見えない空気の状態がどのようになっているのか、正確に知ることは簡単ではありません。特に、オフィスや学校、商業施設など、不特定多数の人が利用する空間では、空気環境を適切な状態に保つことが重要視されます。


こうした背景があり、安全で快適な環境を維持するための「空気環境測定」が生まれたのです。


この記事では、空気環境測定の概要や重要性、測定方法などについて詳しく解説します。また、安心して生活や作業ができる空間づくりを行うための改善方法も紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。




空気環境測定って何?

空気環境測定とは、建物内の空気が人々にとって、安全かつ快適な状態かを確認するために行う検査です。


多くの人が利用する施設では、健康を守るために空気環境を適切に管理することが、「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」(以下、「建築物衛生法」という

)で義務付けられています。特に新型コロナウイルス感染症の流行以降、空気環境を正常に保つことは、より重要視されているといえます。


空気環境測定を行うことによって、換気設備の状況や空気中の有害物質の有無が把握でき、必要に応じて改善措置を講じることが可能です。

改善までの期間、建物自体の使用ができなくなる場合もあるため、定期的な空気環境測定を行い、迅速な改善を図ることが重要になるでしょう。


空気環境測定を行う対象

空気環境測定が義務付けられているのは、「特定建築物」と呼ばれる施設です。

特定建築物とは、建築物衛生法施行令第1条にて定義されている、延べ面積が3,000平方メートル以上のオフィスビル、商業施設、図書館、博物館や、8,000平方メートル以上の学校を指します。


特定建築物は、多くの人々の利用が見込まれます。

そのため、建築物衛生法第4条にて、衛生的な空気環境を維持する必要があると明示され、空気環境測定の対象となっているのです。


建築物における衛生的環境の確保に関する法律(昭和四十五年法律第二十号)


第二章 特定建築物等の維持管理

(建築物環境衛生管理基準)


第四条特定建築物の所有者、占有者その他の者で当該特定建築物の維持管理について権原を有するものは、政令で定める基準(以下「建築物環境衛生管理基準」という。)に従つて当該特定建築物の維持管理をしなければならない。


2建築物環境衛生管理基準は、空気環境の調整、給水及び排水の管理、清掃、ねずみ、昆虫等の防除その他環境衛生上良好な状態を維持するのに必要な措置について定めるものとする。


3特定建築物以外の建築物で多数の者が使用し、又は利用するものの所有者、占有者その他の者で当該建築物の維持管理について権原を有するものは、建築物環境衛生管理基準に従つて当該建築物の維持管理をするように努めなければならない。




また、特定建築物に該当しない場合でも、建物の所有者が自主的に空気環境を管理することが推奨されています。


空気環境測定における検査項目と安全基準

空気環境測定には、さまざまな検査項目があり、それぞれに基準が設けられています。


以下に、主な検査項目と基準についてまとめました。


検査項目

安全基準

測定方法

浮遊粉じん量

1立方メートルにつき0.15ミリグラム以下

グラスファイバーろ紙を用いて重量法で測定

一酸化炭素濃度

1立方メートルにつき6ppm以下

検知管方式を用いた一酸化炭素検定器

二酸化炭素濃度

1立方メートルにつき1,000ppm以下

検知管方式を用いた二酸化炭素検定器

温度

18~28℃、外気温との差を著しくしないこと

0.5度目盛の温度計を使用

相対湿度

40%以上70%以下

0.5度目盛の乾湿球湿度計を使用

気流

0.5メートル毎秒以下

0.2メートル毎秒以上を測定可能な風速計

ホルムアルデヒド濃度

1立方メートルにつき0.1ミリグラム以下

高速液体クロマトグラフ法を用いた専用機器


参考:厚生労働省「建築物環境衛生管理基準について



これらの検査を実施することで、建物を利用する人々の健康を守り、快適な空間を提供できます。


空気環境測定の重要性

空気環境測定が重要視されるのは、私たちが日常的に利用する建物内の空気が、健康や快適性に直接的な影響を与えるためです。


特に、オフィスビルや商業施設、学校といった多くの人が長時間過ごす場所では、空気環境の悪化が原因で体調不良や生産性の低下を引き起こす可能性があります。


例えば、適切な換気が行われていない建物内では、浮遊粉じんの量や二酸化炭素濃度が上昇し、呼吸器系への負担が増えます。

また、湿度や温度が不適切な環境下では、カビや細菌の発生を助長し、アレルギーや感染症のリスクが高くなりがちです。


このようなリスクを未然に防ぐために、建物内の空気が安全基準を満たしているかを定期的に確認し、良好な状態を保つ必要があります。



空気環境測定の測定方法

空気環境測定を適切に実施するためには、法律で定められた頻度や時間、測定場所を守る必要があります。

測定方法の基準に従うことで、建物内の空気状態を正確に把握し、利用者の健康と快適性を確保することが可能です。


ここでは、「頻度」「時間」「測定点」の3点について、詳しく解説します。


空気環境測定を行う頻度

空気環境測定は、建築物衛生法で定められた「特定建築物」において、2か月に1回以上の頻度で実施することが義務付けられています。


建物内の空気環境は、季節や外部要因によって変動しやすい傾向があります。

そのため、一定間隔でチェックを行い、基準値を逸脱していないかを確認することが重要です。

特に、夏場や冬場は冷暖房設備の使用が増え、換気が不足しやすくなるため、測定の結果を基にした迅速な改善が求められることもあります。


特定建築物以外の建物における測定の頻度には決まりがありませんが、定期的な測定がおすすめです。


空気環境測定に適した時間

空気環境測定は、建物が通常の利用状況にある時間帯に行うのが理想です。


空間を利用していない時間帯や、換気装置が稼働していない時間帯に測定を行うと、通常の空気状態とは異なる結果が出る可能性があります。

利用者の健康を考えた現実的な空気環境を反映させるためには、時間帯を選ぶ必要があるでしょう。


例えば、オフィスビルであれば、勤務時間中は午前と午後に1回ずつ測定を行い、その平均を出します。


空気環境測定を行う場所(測定点)

測定場所は、建物内の空気環境を正確に評価するために、各階の居室の中央部に設定します。


大規模な建物の場合、床面積に応じて測定点を決めますが、測定点数の決め方は都道府県ごとに異なる場合があるので、注意が必要です。

測定点を適切に設定しないと、一部のエリアで基準値を超えるリスクを見逃す可能性があるため、建物の構造や利用状況を考慮して場所を選ぶことが重要です。


また、測定点は固定とし、床から75〜150cmほど離れた高さで行いましょう。



空気環境を改善する方法

空気環境を良好に保つには、日常的な点検や工夫が欠かせません。

特に、空調設備の適切な管理や室内レイアウトの見直しは、空気の流れや質を向上させます。


具体的な改善方法を解説します。

空調設備の点検やメンテナンスを行う

空調設備は、空気の流れや温湿度を調整するための重要な役割があります。

しかし、フィルターの汚れや機器の劣化が放置されると、十分な換気や空気の浄化が行えず、健康に悪影響を及ぼします。

そのため、空調設備の定期的な点検やメンテナンスを実施し、適切に機能しているかを確認するようにしましょう。


具体的には、エアコンや換気扇のフィルター清掃、空気清浄機のフィルター交換、ダクト内の点検などが挙げられます。業務用エアコンの掃除やメンテナンスを得意とする専門業者に依頼することで、機器の性能を最大限に活かし、より安全な空気環境を整えることが可能です。


室内のレイアウトを再検討する

室内の家具や設備の配置も、空気環境に大きな影響を与えます。


例えば、大型家具や棚が換気口やエアコンの吹き出し口を塞いでしまうと、空気の流れが悪化し、特定の場所に悪い空気が留まる原因となります。

空気がスムーズに循環するようなレイアウトを心がけることが重要です。


さらに、室内の動線を工夫し、人が密集しない配置にすることで、快適性と安全性を向上させることもできます。

レイアウトを定期的に見直すことで、健康的で快適な空気環境を維持できるでしょう。



まとめ

空気環境測定は、建物を利用する人々の健康と快適さを守るために欠かせません。

法律で定められた基準や測定方法に従い、定期的なチェックと適切な管理を行うことで、安全で快適な空間を作ることができます。


当社では、空気環境測定の実施が可能です。

また、空気をきれいに保つための業務用エアコンクリーニングにも対応しています。

原因の特定から改善までをトータルでご提案可能ですので、ぜひお気軽にご相談ください。


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